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中小企業の価格転嫁を促すため、価格交渉指針を公表

中小企業の価格転嫁を促すため、価格交渉指針を公表

物価上昇に対抗し適正な賃上げを実現するため、内閣官房および公正取引委員会が11/29に「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。

原材料やエネルギーだけでなく、賃上げ原資も考慮し、サプライチェーン全体での適正な価格設定の確立が、デフレ脱却等のため必要です。春季の賃上げは30年ぶりの高水準になったものの、物価急騰に賃金が追いつかず、雇用の7割を占める中小企業の原資確保が課題となっており、そのための環境整備が急務です。
そこで政府は、価格転嫁施策を進め、労務費転嫁に関する指針をまとめています。

本指針は、特別調査結果に基づき、労務費の転嫁に関する価格交渉において採るべき行動を12の行動指針(下記参照)で示しています。
公正取引委員会は、価格にコスト上昇を反映せずに取引価格を据え置くことが法的に問題となり得る旨を明確化。指針では特に労務費について留意すべき点を整理し、これに従わない場合は公正取引委員会が法に基づいて厳正に対処していくとのこと。
逆に、指針に従い行動が行われた場合は法的問題が生じにくく、未然防止のために積極的な対応が求められています。

※以下12の行動指針を抜粋し、掲載いたします。(下線は筆者が重要と考えるところに付しています)

1 発注者として採るべき行動/求められる行動

★発注者としての行動①
①労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針を具体的に経営トップまで上げて決定すること、②経営トップが同方針又はその要旨などを書面等の形に残る方法で社内外に示すこと、③その後の取組状況を定期的に経営トップに報告し、必要に応じ、経営トップが更なる対応方針を示すこと。

★発注者としての行動②
受注者から労務費の上昇分に係る取引価格の引上げを求められていなくても、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること。
特に長年価格が据え置かれてきた取引や、スポット取引と称して長年同じ価格で更新されているような取引においては転嫁について協議が必要であることに留意が必要である。

★発注者としての行動③
労務費上昇の理由の説明や根拠資料の提出を受注者に求める場合は、公表資料(最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率など)に基づくものとし、受注者が公表資料を用いて提示して希望する価格については、これを合理的な根拠があるものとして尊重すること。

★発注者としての行動④
労務費をはじめとする価格転嫁に係る交渉においては、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁による適正な価格設定を行うため、直接の取引先である受注者がその先の取引先との取引価格を適正化すべき立場にいることを常に意識して、そのことを受注者からの要請額の妥当性の判断に反映させること。

★発注者としての行動⑤
受注者から労務費の上昇を理由に取引価格の引上げを求められた場合には、協議のテーブルにつくこと。労務費の転嫁を求められたことを理由として、取引を停止するなど不利益な取扱いをしないこと。

★発注者としての行動⑥
受注者からの申入れの巧拙にかかわらず受注者と協議を行い、必要に応じ労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること。

2 受注者として採るべき行動/求められる行動

★受注者としての行動①
労務費上昇分の価格転嫁の交渉の仕方について、国・地方公共団体の相談窓口、中小企業の支援機関(全国の商工会議所・商工会等)の相談窓口などに相談するなどして積極的に情報を収集して交渉に臨むこと。

★受注者としての行動②
発注者との価格交渉において使用する労務費の上昇傾向を示す根拠資料としては、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること。

★受注者としての行動③
労務費上昇分の価格転嫁の交渉は、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回などの定期的に行われる発注者との価格交渉のタイミング、業界の定期的な価格交渉の時期など受注者が価格交渉を申し出やすいタイミング、発注者の業務の繁忙期など受注者の交渉力が比較的優位なタイミングなどの機会を活用して行うこと。

★受注者としての行動④
発注者から価格を提示されるのを待たずに受注者側からも希望する価格を発注者に提示すること。発注者に提示する価格の設定においては、自社の労務費だけでなく自社の発注先やその先の取引先における労務費も考慮すること。

3 発注者・受注者の双方が採るべき行動/求められる行動

★発注者・受注者共通の行動①
定期的にコミュニケーションをとること。

★発注者・受注者共通の行動②
価格交渉の記録を作成し、発注者と受注者と双方で保管すること。

最後に

本指針の内容はかなり踏み込んだものとなっています。たとえば、価格交渉の協議の設定までを発注者側に求めている点に驚きを感じます。つまり、受注者から価格交渉を言い出しやすい環境づくりをしてくれています。(とはいえ、日頃のコミュニケーションは大切であり、価格交渉の打診をしやすい関係を作っておくことが求められます)

人材の確保・定着ができてこそ、良い仕事ができます。賃上げが進まず、他社に人材が流出してしまうことは損失であり、人材確保・定着をサプライチェーン全体で行うことが重要です。

本指針(下記)は全部で25ページありますが、是非ご一読いただきたく思います。
具体的な事例も紹介されており、 心強い指針と感じていただけると思います。そのうえで、価格交渉の打診を検討頂ければ、また違ってくるかと思います。

参考:「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」
https://office-arai.com/blog/pdf/20231221.pdf

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更新日|2023 12 21

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