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自社で行う、人事評価を基にした人材育成

自社で行う、人事評価を基にした人材育成

はじめに

人材育成で悩んでおられる会社は少なくありません。

研修などを実施すると、受講する社員が、自らの課題を改善していくために受講しているという意識が薄い場合が多く見られます。しっかり学んで欲しい社員ほどあまり聞いていないなど。

他方、「継続は力なり」というように、人材育成には時間がかかるものですが、研修などはそれなりのコストがかかるため、単発で終わってしまい、効果が表れない場合が多く見られます。

このような人材育成上の課題を解決する方法として、
・できる限り外部に依頼せず、自社で実施してコストを抑え、継続を可能とする。
・人事評価表で課題を明らかにして、社員本人が課題を意識した上で、研修などに取り組んでもらうようにする。

これらを主たる内容として、以下具体的に人材育成の方法をご提案致したいと思います。

人事評価の目的と人材育成

人事評価は、日頃の働きぶりを評価し、改善につなげるのが重要な目的ではありますが、昇給賞与などの賃金決定業務のためだけに行うというイメージを持っておられる方は多いです。

そのため、 ガチッと決まった賃金決定業務を必要としない中小規模の企業では、人事評価表に基づき評価して本人に伝えるという人事評価が行われていない場合が多く見られます。

また、中堅企業では、人数が多いために賃金決定業務を効率化する目的で人事評価を行っていたとしても、人材育成には活かされていないことが少なくありません。

このような状況下、人事評価により社員本人の良いところと課題をはっきりさせて、人材育成に活用することをおすすめしたいと思います。

キーになるのは人事評価表

人事評価を基にした人材育成でキーになるのは、人事評価表です。
その評価結果が、的確にとらえられているか。できる人とそうでない人、いいところと課題(悪いところ)がはっきり表れているか、です。

いろいろな人事評価表を拝見し、作成した経験上、主に以下のポイントがあると考えます。

  • (1)社員に共通した課題が反映された評価項目になっているか。
  • (2)同じ会社でも、職種によって期待されることや重要業務が異なるため、それらが反映された評価項目になっているか。
  • (3)部下の指導など管理職特有の評価項目は入っているか。

などがあります。

また、評価表を作成してみたら、本番で使用する前に実際に評価してみて、検証・修正が必要です。
そのぐらい丁寧に作成してはじめて「的確にとらえられた」評価表になると考えます。
何かのひな型を少々アレンジした程度では、はっきり課題などが表れにくいですし、評価しづらいものですが、そのような評価表は意外と多いです。

人材育成のポイント
(1)継続性

人材育成は効果が現れるのに時間がかかります。
ものにもよりますが、通常新たに習得しようとする事は、忘れて思い出して忘れて思い出してを重ねながら少しずつ身に付いていくものです。まさに継続は力なりといえます。
たとえ有益な研修だとしても、単発だと身に付かず忘れてしまいがちですので、継続して実施することがポイントになります。

(2)コスト抑制

人材育成は、いかに継続して行うかが大事ということになりますが、そこで問題があります。
なかなか効果が現れない中で継続すれば、それ相応のコストがかかるということです。
つまり、いかにコストを抑えるかです。
それは、
①できる限り外部に頼まず、自社で実施可能な内容とする。
②研修で作成した成果を活用できる内容にする。

例えば、会社における実際の課題に対する解決策を作成してもらい、良いところは参考にすれば、研修に人と時間を費やした分を取り戻すこともできます。

(3)課題に応じた育成策と効果の検証

人事評価表で明らかになった課題に応じた育成策を行うこと。

何となく良さそうな研修だからと受けるよりも、本人が「自分の課題は何か」をはっきり意識した上で、その改善策としてふさわしい研修を受ける方が身に付きやすいからです。

また、例えば半年後や1年後に、課題がどのくらい改善したかを人事評価で確認することが可能になります。
そのことが、適度な緊張感とがんばる励みにつながります。

(4)アウトプット(話す、書く)重視

面談や研修において、社員本人が話を聞いたり、資料などを読むだけで終わると身に付きづらいです。
やはり、社員本人も自分の意見を言ったり、発表したり、書いたりすること、つまりアウトプットがあると身に付きやすくなるものです。
話すことで頭の整理になりますし、後で発表があると思うと話を聞くのも真剣味が増します。
面談や研修において、必ずアウトプットをする場面を盛り込むことが大切です。

人材育成の具体例

前記の人材育成のポイントを踏まえ、以下具体例をご提案します。

(1)面談指導(注意を含む)

人事評価の面談とは別に時間を取って、1つ2つの課題に絞って(多いとインパクトが薄れるため)、あらためて課題の明確化(意識づけ)指導(注意を含む)に力点を置いた面談指導を実施します。
人事評価表を基にするので、指導しやすく説得力があります。
ただし、こちらからの一方的な指導を聞くだけで終わらないよう、途中社員本人の考えも話せるように配慮し、課題によっては、本人に改善策を提出してもらってもいいと思います。(アウトプット)
人事評価という正式な記録(後に残る)をもとにするため、日頃の口頭による指導とは違う緊張感を伴うことになります。

特に課題の多い社員は、普通に研修を受けても右から左になりがちで、自己評価が高いことが多いので、まずは自らの課題をはっきり自覚してもらうことからです。
意識面(知識・スキル以外)については、直接注意指導が必要です。
また、今後の改善について本人コメントを書いてもらうことで、その場限りにならないよう適度なブレッシャーを感じてもらうことも可能です。

(2)研 修
①チームワークが課題の場合

チームで会社の具体的な課題の解決策を作成発表してもらう。
メンバーは例えば、さまざまな職種で構成し、異なる視点から出された意見アイデアをリーダー中心にまとめ上げる。
異なる視点から出された意見アイデアをまとめるのは大変ですが、継続的に何度か経験していくことで、職場に戻ってのチームワークに活きてくると考えます。
発表された解決策で良いところは参考にすれば、研修に人と時間を費やした分を取り戻すこともできます。
リーダーシップが課題の社員には、何度もチームリーダーをやってもらい経験を積んでもらうこともできます。

②管理職や管理職候補対象

幹部としての経営意識が課題の場合
会社の重要な課題(幹部向けのもの)の解決策を作成し、参加メンバーで議論して磨きをかけ、役員に対して発表。
例えば、参加メンバーそれぞれの所属部署の若手育成策、業務改善、目標達成策など。
発表された解決策で、良いところは参考にすれば、研修に人と時間を費やした分を取り戻すことも可能です。

③一般社員対象

知識やプレゼン力が課題の場合
業務知識や仕事の姿勢などに関して、会社が指定した書籍や会社に了解を得て読んだ書籍について、気づきや今後の仕事にどう生かすかなどを発表する。(グループディスカッションし発表などもあり)発表を聞いた社員も知識習得になります。

人材育成は永遠の課題ですが、これまでのアプローチを変えてみることで、前に進むかもしれません。
人事評価表や育成策その他ご相談は、お気軽にどうぞ。

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更新日|2021 09 14

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